2023/06/30
クロムハーツは、1988年にカリフォルニア州ロサンゼルスで、リチャード・スターク、ジョン・バウマン、銀細工師のレナード・カムホートによって設立されました。バイカーとロックンロールのカルチャーに根差した3人は、もともと、自分好みのレザージャケットとシルバージュエリーを製造するためにビジネスを始めました。クロスやフルールドリスなどのモチーフは、シルバーパーツや装飾的なディテールで飾られたレザージャケットと同様に、創業当初から変わることのないブランドの美学を体現しています。ブランドの立ち上げからわずか1年後、クロムハーツは、コメディホラー映画のコスチュームを製作します。この映画に出演した女優の1人は、当時のボーイフレンドであったセックスピストルズのスティーブ・ジョーンズを、クロムハーツに紹介しました。これをきっかけに、セックスピストルズをはじめ、モトリー・クルーやガンズ・アンド・ローゼズなどのロックバンドの衣装を手掛けるようになります。1992年、クロムハーツは栄誉あるアメリカファッションデザイナー評議会(CFDA)賞を受賞しましたが、スタークは自分自身をデザイナーだとは考えていませんでした。
日本でクロムハーツが認知されるきっかけをつくったのは、コムデギャルソンの川久保玲でしょう。彼女は、90年代初頭にコムデギャルソン青山店のウィンドウにクロムハーツのアイテムを展示し、クロムハーツを日本に紹介しました。クロムハーツのシルバージュエリーは、すぐにファッション雑誌や原宿のストリートに浸透し、裏原系といわれる日本のデザイナーのクリエーションにも少なからず影響を与えています。特に、ロックバンドやヴィジュアル系バンドのミュージシャンは、クロムハーツを愛用しました。
2010年代に入ると、スタークス家の子供たちによってクロムハーツは新しい世代に受け入れられるようになりました。Jay-Zやリル・ウージー・ヴァートなどのヒップホップアーティストがクロムハーツを着用しはじめ、とくにヴァージル・アブローとカニエ・ウェストは、若い世代への決定的な影響力をもたらしました。2015年にヴァージル・アブローはクロムハーツとコラボレーションし、2016年と2018年にもコラボレーションを続けました。ヴァージル・アブローはルイ・ヴィトンのメンズのクリエイティブディレクターを務めたことでも知られます。
まず一つに、創業者リチャード・スタークのカリスマ性というのがあります。彼のスタイルは長髪に黒いTシャツ、レザーパンツという出で立ちで、クロムハーツのファンの中にはそのスタイルを真似る人も少なくありません。
また、クロムハーツは創業以来変わらない明確なスタイルがあります。流行やシーズンに左右されない、リチャード・スタークが“作りたいときに作る”製品は、一貫して彼の美学を反映しています。そして、ハードで無骨な世界観を表現しつつも、高品質かつ精緻に作りこまれた製品には、他のラグジュアリーブランドにはない力強さが宿っています。
クロムハーツは多くのセレブリティが愛用していることでも知られています。往年のロックスターや、インフルエンサーでもある著名なヒップホップアーティスト、川久保玲やカール・ラガーフェルドなどの一流デザイナー、日本では木村拓哉や土屋アンナなどの芸能人も愛用していることが知られており、そういったスタイルアイコンによって、クロムハーツのカリスマ性がさらに強まるという要因もあります。
クロムハーツにはシルバージュエリーやライダースジャケットなど、ブランド創業当初からのアイコンもありますが、最近ではフーディーや帽子などより親しみやすい製品も展開されるようになりました。一方でジュエリーは単体で着けてもカッコイイですが、愛好家は重ね付けで自分ならではの組み合わせを楽しむ人も多いです。そういう人は様々なモチーフや様々なサイズをコレクションしていることが多く、ヘビーユーザーとなる傾向にあります。
クロムハーツの人気の秘密について、クロムハーツのヒストリーを交えつつ紹介させていただきました。クロムハーツは、もともとバイカーのためのプロダクトを作っていましたが、そのスタイルがロックミュージシャンにも受け入れられ、次第に認知度が高まり、一流ブランドとして名声を確立していきます。現在でもその人気は衰えることを知らず、ヒップホップアーティストなどの影響も相まって若い世代にも人気があります。
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