ウブロの歴史

ウブロは1980年にカルロ・クロッコ（Carlo Crocco）が創立した時計メーカーです。ウブロとはフランス語で船の窓、舷窓を意味し、すべてのコレクションに共通する特徴的なビス打ちされたベゼルは、このブランド名を象徴しています。“The Art of Fusion”というコンセプトに基づき、既存の時計づくりに囚われないイノベーティブな発想で、オルロジュリー業界に新風を吹き込みます。

特に斬新なのは、ブレスレットに耐久性のあるラバー素材を使用したことでした。ラバー素材以外にもセラミックやケブラー（米軍が採用している防弾素材）などのハイテク素材を巧みに取り入れて、ゴールドなどの貴金属と“フュージョン”させるのがウブロのお家芸です。貴金属素材にも独自のこだわりが詰め込まれており、特許を取得している「マジックゴールド」は、柔らかい金属として知られる金の弱点を克服した堅牢なゴールド素材で、日常使いに耐える耐久性を実現しています。

2004年、高級時計界の巨人ジャン＝クロード・ビバー（Jean-Claude Biver）がウブロのトップに就任すると、翌年にはブランドの精神たるフュージョンを象徴するモデル「ビッグバン」を発表します。彼が手掛けたウブロの初コレクションは大成功を収め、数か月後にはブランドの売上は3倍になり、ビッグバンはジュネーブ オルロジュリーのグランプリなどの賞を受賞します。

ウブロの躍進はとどまることを知らず、2008年にはブランド帝国LVMHの傘下となり、高級時計ブランドとして揺るぎない盤石の上に聳え立ちます。2010年には完全自社製造のムーヴメント「ウニコ」を開発します。ウニコはスペイン語で「ユニーク・唯一無二」を意味する言葉で、2万8800回振動／hの高振動が実現する高精度や、72時間の超パワーリザーヴなど、画期的なスペックを備えたものです。

ウブロの人気モデル

ビッグバン

ウブロというブランドを、高級時計界のスターダムに押し上げたジャン＝クロード・ビバーの名作であり、ウブロの看板モデルです。“ウブロ（舷窓）”を彷彿させるベゼル、ハイテク素材や貴金属素材のケースに、ラバーストラップという三位一体は、新しい時代のエレガンスを体現する時計でした。

ブランドの誇る自社ムーヴメントを搭載した「ビッグバン ウニコ」や、角度差によるヒゲゼンマイへの負担を軽減し、あらゆる姿勢で同じ時を刻むことを可能にする“トゥールビヨン”を搭載し、その複雑機構が視覚的にも美しい「ビッグバン トゥールビヨン」など、ディティールの異なる様々なモデルがあります。

クラシックフュージョン

ウブロ創業当初の時計造りのエッセンスを、ミニマルかつダイナミックに体現したモデルです。装飾性を限りなく排したデザインで、ウブロの誇る素材の妙が際立ちます。ベゼルとケース／文字盤／ブレスレットの素材の組み合わせで、全く異なる表情を見せてくれるので、シンプルながらも多彩なバリエーションから選ぶ楽しみがあります。また、文字盤はシンプルなデザインが際立つ“目盛りなし”と、視認性も両立した“目盛りあり”に大別できます。

偽物を掴まないために

信頼できる販売元で購入する

偽物に出会わないためには、買う場所を精査することも大切です。最も確実なのが正規店ですが、ウブロの時計は値が張るため、中古市場や並行輸入品の購入を検討する人も少なくありません。とくに避けたほうがいいのは、非正規店やフリマアプリまたはオークションアプリなどでのオンライン取引です。

対面でないので、販売者の雰囲気がつかみづらいこと、商品の詳細を精査できないこと、偽造やすり替えなどの詐欺事象が多発していることから、信用できません。信頼できる販売店は高級時計のプロフェッショナルや、プロの時計に特化した鑑定士がいるお店で、明快な情報開示をしてくれるお店です。

予備知識を少しつけて購入する

また、購入する前に自分自身のウブロに関する予備知識を付けていくことも自己防衛となります。販売者とのコミュニケーションで、商品に関する情報を尋ねてみましょう。自分に知識があれば販売者がどれだけ時計に愛をもって接しているかを感じることができます。逆に専門的な質問に答えられない場合は、その販売店の商品の信憑性も疑ったほうがいいでしょう。

偽物を見分けるポイント

スイス製以外は偽物

まず、ウブロの時計はスイスの自社工場で製造されています。詰めの甘い粗悪な偽物なら製造国表記が違うことがあります。

50万円はくだらない

高い人気を誇るウブロの時計は中古市場でも需要が高く、中古といえどもビッグバンなら50万円をくだることはほとんどありません。クラシック・フュージョンは安くても30数万円はすると思っていいでしょう。

細部をみる

ウブロの時計は最高の職人技術で作り上げられた精緻な作品です。“美は細部に宿る”のことば通り、隅々までブランドの美意識が行き渡っています。各パーツの接合部や“きわ”の処理、リューズの滑らかな作動性など、細かい部分に注目してみましょう。そして風防に使われているサファイヤクリスタルは低反射加工が施されており、強い光の下でも視認性を確保できます。

また、ウブロは素材に強いこだわりをもっているブランドで、ハイテクで強靭な素材を使用しています。軟な金属であるゴールドでさえも独自の合金組成で、頑強な「マジックゴールド」を生み出しています。そのため対傷性や耐久性に優れ、その佇まいにも独特の力強さがあります。

まとめ

100年以上の長い歴史を誇るブランドも多いスイス高級時計産業に、その斬新な発想を以て切り込んだ革新的な時計ブランド、ウブロはハイテク素材を高級時計に持ち込んだパイオニアです。その様々なものを組み合わせて新たな世界をつくりあげるフュージョンの妙は、ジャン＝クロード・ビバーのビッグバンによって、その名前のとおり爆発的な人気を経験することとなりました。その人気から、中古市場や平行品市場には偽造品も紛れ込んでおり、買い手は注意が必要です。