2023/08/05
■時計が動かない
多くの場合、ロレックスが動かなくなってしまうのは油切れ、もしくは油の劣化が原因です。油切れや油の劣化は、歯車の摩耗やゼンマイ切れにもつながります。潤滑油不足によって、歯車やゼンマイに負担がかかることで、欠けたり、損傷したりしてしまうのです。時計が動かなくなったという場合に、針が動かなくなった、もしくは針自体が取れてしまったという場合もあるでしょう。針が動かなくなるのは、時計の内部に何らかの異常が起こっていることを意味します。また、針が取れてしまえば当然時計としては機能しません。また、時計が動かなくなったときに文字盤がひどく汚れている場合には、汚れが詰まって針が動かなくなっていることも原因として考えられます。時計が動かないという場合、竜頭が動くかどうかも確認してみましょう。竜頭が動かなくなってしまうのは、竜頭にゴミが詰まっているか、竜頭とねじ山が噛み合わなくなったという原因が考えられます。専門業者に修理してもらう場合、竜頭やパイプの交換が必要になります。時計内側に水が入ることが原因で、時計が止まってしまうことがあります。なぜ時計内側に水が入ることで動かなくなるのかというと、入り込んだ水がムーブメントを錆びさせてしまうからです。これは錆が広まってしまうと修理にかかる費用も時間も大きくなってしまいます。早急に対応が必要となります。
■時間が遅れる、逆に進んでしまう
潤滑油切れ、歯車の摩耗が考えられます。潤滑油切れや油の劣化は、歯車の動きを悪くし、時刻を遅れさせたり、止めてしまったりする原因になります。歯車の動きが悪くなると、本来の動作が難しくなり、時刻を正常に刻むことができなくなってしまうのです。歯車の動きが悪い状態を放置していると、歯車の摩耗が進み、ほかのパーツの破損につながることもあります。進んでしまう場合は磁気やゼンマイの問題が考えられます。時刻の遅れや進みの原因となる「磁気帯び」は、心がけひとつで防ぐことが可能です。予防法は、ロレックスを、磁気を帯びるものの近くに長時間放置しておかない、たったこれだけ。スマホやパソコン、テレビなどが発する磁気は、ゼンマイが磁化させます。それにより、時計の精度が狂ってしまうため、デジタル機器に時計を近づけないように心がけましょう。また、ゼンマイの異常予防には、オーバーホールが有効です。
■時刻が合わせられない
針合わせ(時刻合わせ)ができなくなることがあります。一つの原因として、リューズが重くて動かないといった症状が発生していることがあります。経年劣化により竜頭が錆び、ゴミや埃がパーツに絡んで回しにくくなっている状態です。スムーズに動くことができないと負荷がかかって、消耗や破損につながる可能性があります。また、地面に落として強い衝撃が加わり、内部が壊れていることも考えられます。このような原因で正常に動かなくなり、正しい時刻がわからないと、腕時計として機能しないためオーバーホールと部品交換が必要になります。
■カレンダーが動かない
歯車などの内部部品が故障していたり、潤滑油切れや劣化によって内部部品が動かないことで、カレンダーに不調が現れる場合があります。また、カレンダー操作禁止時間帯にカレンダーを操作してしまうと、故障の原因になることがあります。もし禁止時間帯にカレンダー切り替え操作をしてしまった場合、”部品破損”や”不具合”が起こる場合があり、大変危険です。初めて機械式時計を扱う方は、恐らくカレンダー(日付)の操作禁止時間帯があることを知らない場合が多いのではないでしょうか。機械式時計は細かなパーツで動いている故、カレンダーを動かす時間帯によっては日付を変更する歯車に悪影響を及ぼし”破損”させる恐れがあります。こうなってしまうとユーザーご自身で直すことはできず、オーバーホールが必要となってきます。腕時計に使われているカレンダーは時計内部でドーナツ型のプレート(日車)が時計回りに動くことで日付が変わっていきます。プレートには内周に等間隔に突起が用意されており、この突起を「日送り車」と呼ばれる歯車によって動かすことでプレートが時計回りに動く仕組みとなっています。具体的には24時間で1周する「日送り車」に取り付けられた一つの突起(日送り爪)が、カレンダープレート内周の突起に引っ掛かることで、1日の終わりに1メモリ進むというわけです。日送り車に取り付けられた「日送り爪」は日送り車が回転する中で、日付変更時刻が近づくとカレンダープレートの内周の突起に近づき、噛み合っていくこととなります。この噛み合っているところに、無理に竜頭操作で日付変更を行おうとすると、カレンダープレートの突起や日送り爪がガリッと欠けてしまうことに。なぜなら竜頭での日修正機構は日送り車とは別の歯車によってカレンダープレートを操作する構造が、しばしば採られるためです。
■ベゼルが動かない
回転ベゼルはベゼルとケースが正常に噛み合うことで作動します。しかし、そこに塵や埃などの汚れが蓄積されると、重くなったり、回らなくなったりしてしまいます。日頃から使うたびに簡単でいいので拭き掃除を行っておくことでこのようなトラブルは回避できます。それ以外の原因としては部品自体が破損していることも。そのときはベゼル自体の交換が必要となります。
■逆回転防止ベゼルが両回転する
逆回転防止ベゼルは、ケースに逆回転防止バネと呼ばれる部品がついており、その部品が逆回転を防いでいます。バネが破損していたり、劣化によって伸びてしまったりしていると、逆回転防止ベゼルが両回転する故障につながります。逆回転防止機能を日常的に使っていない場合だと気付きづらい故障ではあるのですが、放置しているうちに、ほかの故障を巻き起こしてしまうケースもあります。
■竜頭が空回りする
竜頭でゼンマイを巻いた際に巻いている感触がない場合はゼンマイが切れているか、角穴車の歯が破損していることが考えられます。また、竜頭自体が巻けない、重いという場合はリューズや巻き芯が歪んでいる可能性も。いずれにせよ、パーツ交換が必要になっています。ゼンマイ切れ、角穴車の破損、どちらの場合も別途オーバーホール作業は必須。ゼンマイは古い時計だけでなく最新の時計でも切れてしまうことがあります。主な原因は、ゼンマイを手動で巻きすぎたこと。手で限界まで巻くとゼンマイに大きな負荷をかけてしまう。手動で巻き上げる時はゆっくり巻き上げて巻きすぎには注意してください。
■竜頭が取れた・閉まらない
竜頭はゼンマイを巻く以外にも、時刻、日付合わせにも使うために負荷がかかりやすく、竜頭の脱落は多く見られる不具合のひとつです。特に、新しい時計であれば起こりづらいと思うが、アンティークのような古い時計の場合、竜頭と巻き芯が一緒になってケースから抜けてしまうことがあります。竜頭が取れてしまうと、まったく操作ができなくなるだけでなく、防水性も維持できない状態となり、そのままにしておくと水分や細かい埃によってムーブメントを劣化させてしまいます。ネジ込み式竜頭が元のように閉まらない場合は、竜頭側とケース側のネジ山がかみ合っていないことが考えられる。原因は経年変化によるネジ山の摩耗や、ゴミを挟んだまま竜頭を締め続けたことによる破損など。ネジ山が摩耗・破損していると、パーツ交換になるため大きな出費となるのでご注意下さい。
■クロノグラフが動かない
大抵のクロノグラフは2時側についたプッシャーを押すと作動し、再び押すとストップ。計測が止まった状態で4時側のプッシャーを押すと、リセットされクロノグラフ針がゼロ位置に戻る、といった仕様となります。これがクォーツの場合は、簡単な操作で元に戻すことが可能です。ほとんどのモデルで、竜頭を一段引きにし、上下どちらかのプッシャーを押す、またはプッシャーを同時長押しするとクロノグラフ針が動き出し、ゼロ位置に手動調整することが可能です。機械式クロノグラフの場合はパーツが複雑なため手動調整ができないことがあります。また、リセット時に毎回違う位置に戻ってしまう場合は、「ハカマ」と呼ばれる針を支える筒状のパーツの緩みや、ズレてしまっていることが考えられます。
■風防内部が曇る
ガラスの内側が曇っているのは、時計内に水分が侵入している証拠。この症状を放置しておくと、取り返しのつかない事態を招いてしまうことがあります。なぜならば、水分の侵入は、ムーブメントが錆びる原因となり、大きな故障につながることが多いから。ガラスの割れや竜頭の歪みは見た目で判断できますが、パッキンのゆるみはわかりづらいため、要注意です。また、水に強いダイバーズウォッチでも、ずっとつけているうちに、汗が時計の裏面から入り込んでしまうことがあります。
■風防が割れた
プラスチックの風防や研磨出来るものであれば、市販の研磨剤でも対応はできますが高級な時計にはサファイアクリスタルという素材が使われており、割れにくく傷つきにくい代わりに研磨出来ません。水やほこりが内部へ入り込む原因ですので早急に新しい物を付けましょう。
■ベゼル・本体に傷がついた・破損した。
先の風防の説明と同じで、新しい部品との交換が早急に必要です。がひどい場合には、サビが発生することもあります。サビは故障を引き起こす原因にもなりますので、深い傷や、全体が傷だらけになってしまった場合はオーバーホールへ出しましょう。ステンレス素材なら研磨をしてもらうと新品同様の状態に戻る事もあります。
■振ると異音がする
振ると時計内部から何か音がする。内部機械の油が切れて、スムーズな回転をしていないために音を出している可能性があります。音が不規則になっている場合は、外部からの衝撃などでパーツが破損してしまった可能性が考えられます。このケースは他のパーツを傷つけてしまうので早急な修理が必要です。
■ローターから金属音がする
ネジのゆるみや脱落によってローターがずれた状態になっていると、ローターが動いたときに、金属がこすれあうような異音が発生します。ローターのねじが緩むことは非常に多いトラブルです。修理自体はねじを締め直すだけで済むことが多いのですが部品が取れて内部で動いていると他の部品を傷つけてしまう可能性が高いので要注意です。
■お湯に触れた
ダイバーズウォッチであれば水でもお湯でも時計を濡らしても大丈夫だと思われがちですが、実はお湯に触れる事は危険です。お湯の場合は蒸気が発生してしまい、蒸気に含まれる小さい粒子が時計に入り込んでしまうからです。どれだけ防水性能に優れていても粒子の侵入を避けることは難しいです。また、時計は温まることにより金属が膨張してしまうため、時計内部に粒子を取り込みやすくなります。
■水に触れた
しばらくオーバーホールをしていない時計はパッキンが劣化している場合もあります。古い時計はそもそも防水性能が失われている場合があります。水道の蛇口から出る水は水圧が高いため、たとえダイバーズウォッチであっても水が浸入してしまう場合があります。防水だからと安心せずに大切に使ってください。
よくあるトラブルについて解説をしてきました。高級な時計は非常に強固な造りになっているのでメンテナンスの頻度が少なくても意外と動き続けます。しかし、定期的なメンテナンスで事前に悪い箇所を修理できていた方がトラブルの回数は減りますし、大事な時計なのでオーバーホールをしてあげた方が結果として長持ちするのではないでしょうか。みなさんよい時計ライフをお送りください。
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