2023/09/10
ブランドの創業は1847年に遡ります。ブランドの創業者であるルイ=フランソワ・カルティエは宝石を加工する仕事をしていた職人で、師であったアルフレッド・ピカールから工房を引き継いだことが、このブランドの始まりでした。
1850年代にはパレロワイヤルにほど近いヌーヴ デ プティシャン通りにお店をオープンし、宝石販売業を本格的に始めます。お店が軌道に乗り始めると、オスマン市長のパリ大改造で新たなホットスポットとなりつつあったエリア、オペラ座近くイタリアン大通りに移転します。
多くのパリジェンヌの心をとらえたカルティエ、1859年にはナポレオン3世の皇后がこのお店の顧客となり、カルティエの名前はフランス中で知られるようになりました。1898年には高級宝石店が軒を連ねるヴァンドーム広場に続くla paix通りに移転します。
20世紀のカルティエは3代目ルイ・カルティエとともに始まったといえます。ルイ・カルティエは旅を愛し、彼のエキゾチックなインスピレーションは後のカルティエの名作の数々に影響を残しています。また20世紀頭よりカルティエは世界に先駆けてプラチナをジュエリーに取り入れます。またアールヌーヴォーの流行していたこの頃、フランス新古典主義に着想を得たカルティエ独自のガーランドスタイルがプラチナで表現されました。
1902年にはロンドンに進出。エドワード7世の戴冠式に際し27個のティアラを作成し英国王室御用達の称号を得ます。さらにエドワード7世はカルティエを「王の宝石商であり、宝石商の王」と称賛します。この頃2つの楕円形の“C”を重ね合わせたたカルティエのロゴ「ドゥーブルC」が登場します。このロゴは1900年にパリの世界展示会で初めて一般に公開されました。このモノグラムは、ルイ・カルティエの弟であるピエール・カルティエが生み出しました。彼は1910年にドゥーブルCマークの商標を登録します。
第一次世界大戦の終結とともにアールヌーヴォーが去り、新たな芸術潮流であるアールデコが台頭します。カルティエは時代の変化を察知し戦前よりアールデコ的な直線的幾何学的なモチーフのデザインを生み出していきます。第一次世界大戦前後にも今のカルティエの礎となるようなクリエーションがいくつも誕生します。縦のラインを強調した長方形のダイヤモンドカット「バゲット(BAGUETTE)カット」、時計技師モーリス・クーエによるミステリークロック「モデルA」、そして敏腕デザイナージャンヌ・トゥーサンが生み出した「パンテール」モチーフや、戦車に着想した腕時計「タンク」などがその例です。
日本にカルティエが上陸したのは1974年。原宿・パレフランス2階にカルティエブティックがオープンします。日本でのカルティエ人気はさらに加速し、また世界的に見ても「LOVE」や「ジュストアンクル」などが生み出された時で、新たなムーヴメントとなりました。
1904年、ルイ・カルティエはブラジル人で発明家・飛行家のアルベルト・サントス・デュモンからの「操縦桿から手を放さずに時間を確認できる時計が欲しい」という要望に応え世界初の腕時計を製作。今なお不動の人気を誇る「サントス」の誕生の瞬間です。フランス軍のルノー製戦車をヒントに制作された「タンク」は1919年に登場、現在もカルティエのアイコンウォッチとして不動の人気を誇ります。タンクが発表されたのは第一次世界大戦終戦の時期。平和祈念の意味が込められているという説もあります。その後も、円形ケースに格子状の風防カバーが特徴的な「パシャ」、オーバル型ケースが女性らしさを表す「ベニュワール」など女性用時計の名作を多数展開します。
2001年、時計製造のメッカ、スイスのラ・ショー・ド・フォンに時計の全てを自社製造することができる、マニュファクチュールを設立します。そうして「カルティエ オート オルロジュリー ウォッチ コレクション」という最上位ラインが誕生しました。2010年には、カルティエ自社開発のムーブメントを搭載した、男性用モデル「カリブル」を発表。2014年には、300mの防水性能を備えた本格的なダイバーズウオッチ「カリブル ダイバー」も登場します。
カルティエを象徴する「Double C」はCと反転させたCを重ねたマークです。2C1910年に商標登録されて以来、カルティエというブランドを象徴するロゴで、様々なアイテムに象徴的にあしらわれています。最もドゥーブルCをアイコニックにあしらっているのが「ドゥーブルC ドゥ カルティエ」シリーズで、バッグや財布などで展開されている、エナメル加工したドゥーブルCを留め金にしたコレクションです。ドゥーブルCを型押した「マスト ドゥ カルティエ」シリーズの財布はカルティエの定番アイテムとして老若男女に人気があります。
このようにカルティエは175年以上にわたりジュエリーや時計製造の第一線を走り続けるブランドです。当時から先見性のあるアイデアやイメージを随一の技術と美学によって形にしてきました。その深いアーカイブは新たなデザインのインスピレーションとなり温故知新が新たな世界をみせてくれるブランドでもあります。
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