2023/09/19
インドは近年モータリゼーションの進展(日常生活における自動車の普及)が著しい国です。中間層の台頭による自動車需要の増加を背景としています。
意外に思われるかもしれませんが、インドはダイヤモンドの国として有名です。
インド各地にある河川では、古くから硬い石が発見されていました。そのため、ダイヤモンドは古くは「インド石」と呼ばれていたのです。
原石のままでは「ただ硬いだけ」で、美しくもないただの石でした。「ダイヤをダイヤで磨く」方法はベルギーで発明されます。以来、ダイヤモンドは宝石としての価値を持つようになっていきます。
ローマ帝国に追われ、流浪の民となっていたユダヤ人は、「軽くて小さいため持ち運びしやすい高価な物」としてダイヤモンドに目を付けました。
インドでは、かつてほどのダイヤモンドの産出量はみられませんが、依然として研磨・流通・販売の世界的な集散地として知られており、輸出品目3位はダイヤモンドです。
ダイヤモンドは、古い時代に地球の内部で作られたもの。もしくは宇宙からやってきた隕石(いんせき)や小惑星の衝突が、ダイヤモンドを生み出すケースもあります。
現在では、9億年以上前に地球の奥深くで作られたダイヤモンドが、その後長い時間をかけてより地表に近い部分まで上がってきたものを、各国で採掘しています。
地図上でチェックしてみますと、このポイントはごく小さなもので、ダイヤモンドが採掘できる場所は、世界でもごく限られていることがわかります。
ダイヤモンドの美しさに魅了された方は、「身近な場所でダイヤモンドを採掘できたら…」なんて思うかもしれません。日本人にとって身近な場所といえば、やはり日本国内でしょう。
しかし地球の歴史をチェックしてみますと、残念ながら日本は、比較的新しい時代に生まれた地殻の上に位置している島。ダイヤモンドが採掘できる場所の条件として挙げられるのは、「まだ地球の火山活動が非常に活発であった時期に、すでに存在していた土地」です。残念ながら、日本はこの条件を満たしておらず、「国内でダイヤモンドは採れない」という考えが定説でした。
しかし、2007年に状況は一変します。
2007年、愛媛県・四国中央市に位置する四国山地にて、日本初となる天然のダイヤモンドが見つかりました。大きさは1/1000ミリ程度ですが、これまでの常識を覆す発見です。
地質的には和歌山県・奈良県・三重県・千葉県も同様とのことで、今後日本各地でダイヤモンドが見つかる可能性が出てきました。いずれも日本における、ダイヤモンド採掘の第一歩となるでしょう。
・インド:マジガワン鉱山(マディア・プラデーシュ州)
・ブラジル:イタビラ鉱山(ミナスジェライス州)
・南アフリカ共和国:カリナン鉱山(ハウテン州/ツワネ/プレトリア)
・ナミビア共和国:エリザベス・ベイ鉱山(カラス州)
・ボツワナ:オラパ鉱山(ボテティ準地区/オラパ)
・カナダ:ダイアヴィク鉱山(ノースウェスト州/イエローナイフ)
・アンゴラ:カトカ鉱山(ルンダ・スル州)
・コンゴ民主共和国:ミバ鉱山(東カサイ州ムブジマイ地区)
・ロシア:ミール鉱山(サハ共和国/ミールヌイ)
アフリカ大陸の中で、最も早い時期に「ダイヤモンド採掘国」としての注目を集めたのは南アフリカ共和国です。その歴史は、今から50年近く前に遡ります。
1867年、かつてのケープ植民地(現:ケープタウン)の近郊に住んでいたボーア人の農夫「ダニエル・ヤコブ」の土地で、南アフリカ初のダイヤモンドが見つかりました。
ケープ植民地の知事あった「フィリップ・ウォドハウス」は、農夫が持ち込んだダイヤモンドが本物であると確認し、500ポンドで購入します。このニュースは瞬く間に広がり、アフリカ大陸の探鉱者達は、複数人のグループを形成してこの地に押し寄せました。
その後、1870年。主要採掘エリアから20マイル東南に位置する「バルトフォンティン農場」にて、大量のダイヤモンドが発見されます。このようなきっかけから、ケープ植民地一帯でダイヤモンド採掘が進み、今日にいたります。
近年採掘の中心となっているのがロシアで、1950年代から続々とダイヤモンドの採掘ポイントが発見されています。とりわけロシア国土の中央、サハ共和国・西部に位置する「ミール鉱山」は、世界第2位の規模を誇るダイヤモンド鉱山として知られます。同国におけるダイヤモンド生産の99%を担っていましたが、2004年に採掘が終了し、現在は観光スポットとなっています。
一般的には、「ダイヤの輝きや硬度には、数値上の目立った違いはない」とされています。しかしダイヤモンドに精通しているプロの目からしますと、産地によって微妙な差を感じることもあるようです。数ある採掘国の中でも、「最高の品質」と言われているのがボツワナのジュワネング鉱山にて採掘されるダイヤモンドです。ダイヤモンド購入を検討する際には、ぜひこうしたポイントにも気を配ってみてはいかがでしょうか。
●ホープダイヤモンド
逸話でご紹介したホープダイヤモンドも、元は112.5ctもの大きなダイヤモンドだったそうです。ルイ14世が買い取り後に69ctのハート型にカットさせたと言われています。今はクッションモディファイトブリリアンカットにリカットされ、45.52ctになっているとのことです。
●パシャ・オブ・エジプト・ダイヤモンド
パシャ・オブ・エジプト・ダイヤモンドは、1848年にエジプトのイブラヒム・パシャ将軍が購入したインド産のダイヤモンドとされています。最初は40ctあり、八角形をしていたそうです。1933年にカルティエによってエジプトに売られましたが、その後イタリアの宝石商ブルガリが買い取ってアメリカのバーバラ・ハットン夫人に売却しました。この新オーナーは八角形を好まなかったようで、カルティエに再カットを依頼して38.19ctの指輪に加工したそうです。現在は36.22ctとなってヨーロッパの個人に所有されていると言われています。
●ウィリアムソン・ダイヤモンド
ピンクダイヤモンドにも巨大カラットのものが存在します。1947年にケベックの地質学者がタンザニアの鉱山で発見したウィリアムソンダイヤモンドです。54ctあり、エリザベス女王の結婚祝いとして原石のまま贈られました。その後、23ctのブリリアンダイヤモンドにカットされたものの、1953年の戴冠式のときにこのダイヤをあしらって花を模したブローチをつくるよう女王がカルティエ社に依頼します。こうしてウィリアムソン・ダイヤモンドは、エーデルワイスの花をかたどったブローチとして生まれ変わったのです。
●ザ・ゴールデン・エンプレス
世界最大級のイエローダイヤモンドと言われているのは、アフリカのレソト王国で発掘された132.55ctのザ・ゴールデン・エンプレスです。レソト王国は国土全体が標高1,500mあり、天空の王国と呼ばれています。レソト王国は世界有数のダイヤモンドの産地で、2006年にも603ctのダイヤモンドが発掘されました。ザ・ゴールデン・エンプレスは現在、イギリスのグラフが所有しています。
室御用達の宝石から結婚指輪までさまざまに活躍しているダイヤモンドですが、ダイヤモンドは古文書にも名前が残され、シンドバッドのような童話にも登場するように長い歴史のある宝石です。その歴史にはインドとの関わりが非常に重要でした。婚約指輪を購入する際には、このような背景を踏まえて納得のいくダイヤモンド選びをしたいですね。
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