2023/10/15
国及び地方公共団体の公務、または公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた人を表彰する場合に、男女に共通して授与される勲章のことです。明治21に制定され、勲章のデザインは、古代の宝であった宝鏡を中心に大小16個の連珠を配して、四条や八条の光線を付し、鈕(ちゅう)には桐の花葉が用いられています。
※鈕(ちゅう)とは、章と綬の間にある飾りです
瑞宝章の中にもさらに細かく名称とそれに合わせた等級があります。
・瑞宝大綬章(ずいほうだいじゅしょう):勲一等瑞宝章(くんいっとう ずいほうしょう)
瑞宝章の最高位の勲章。授与の際は宮中において授与式を行い、天皇陛下自らが受章者に直接授与されます。
・瑞宝重光章(ずいほう じゅうこうしょう):勲二等瑞宝章(くんにとう ずいほうしょう)
授与の際は宮中において授与式を行い、天皇陛下臨席のもとで内閣総理大臣が受章者に手交されます。
・瑞宝中綬章(ずいほう ちゅうじゅしょう):勲三等瑞宝章(くんさんとう ずいほうしょう)
授与の際は、内閣総理大臣の命を受け、内閣府賞勲局長が所管大臣に伝達し、所管大臣が適宜受章者に伝達されます。
・瑞宝小綬章(ずいほう しょうじゅしょう):勲四等瑞宝章(くんよんとう ずいほうしょう)
授与の際は、内閣総理大臣の命を受け、内閣府賞勲局長が所管大臣に伝達し、所管大臣が適宜受章者に伝達されます。
・瑞宝双光章(ずいほう そうこうしょう):勲五等瑞宝章(くんごとう ずいほうしょう)
授与の際は、内閣総理大臣の命を受け、内閣府賞勲局長が所管大臣に伝達し、所管大臣が適宜受章者に伝達されます。
・瑞宝単光章(ずいほう たんこうしょう):勲六等瑞宝章(くんろくとう ずいほうしょう)
授与の際は、内閣総理大臣の命を受け、内閣府賞勲局長が所管大臣に伝達し、所管大臣が適宜受章者に伝達されます。
※さらにこの下に勲七等と勲八等がありましたが、現在は廃止されております。
~授与基準~
勲章には授与基準が設けられてられており閣議決定により定められた「勲章の授与基準」によれば、瑞宝章は、「国及び地方公共団体の公務又は次の各号に掲げる公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者を表彰する場合に授与する」とされています。同規定中の「次の各号」とは、以下の通りです。
・学校において教育又は研究に直接携わる業務
・各種施設において社会福祉に直接携わる業務
・医療又は保健指導に直接携わる業務
・調停委員、保護司、民生委員など国又は地方公共団体から委嘱される業務
・著しく危険性の高い業務
・精神的又は肉体的に著しく労苦の多い環境における業務
・前各号に掲げるもののほか、人目に付きにくい分野における業務
また、授与する勲章は、その者の果たした職務の複雑度、困難度、責任の程度等について評価を行い、特に重要と認められる職務を果たし成績を挙げた者に対しては瑞宝重光章以上、重要と認められる職務を果たし成績を挙げた者に対しては瑞宝小綬章以上、その他の職務を果たし成績を挙げた者に対しては瑞宝単光章以上とします。そして瑞宝章の授与は、形式的な職務歴により等しく行うものではなく、他の模範となる成績を挙げた者に対象を限り行うものとします。
一般行政事務に長年従事し成績を挙げた者のうち次の各号に掲げる者に対して授与する勲章は、それぞれ当該各号に掲げるものを標準とし、その他の者に対してはこれらの者との均衡を考慮して相当と認められる勲章を授与するものとします。なお、その者の功労全体を総合的に評価して、より上位の勲章の授与を検討することができるものとします。
ア 事務次官の職を務めた者 瑞宝重光章
イ 内部部局の長の職を務めた者 瑞宝中綬章
ウ 本府省の課長の職を務めた者 瑞宝小綬章
一般行政事務以外の国又は地方公共団体の公務等に長年従事し成績を挙げた者に対しては、前号に準じて相当と認められる勲章を授与するものとします。 勲章の授与に必要とされる職務従事期間は、その職務の重要度等を考慮し、適正に調整するものとします。
以上の内容が授与基準となります。ここまで見れば分かる通りそう簡単に授与されるようなものではないですね。「それってすごいの?」なんて言われたらそれは悲しくもなりますね・・・御遺品の整理で勲章が出てくるなんてこともあるかもしれませんがもし出てきたらどんな勲章なのか是非調べてみて下さい。きっと誉ある物でしょう。さて、ここまで瑞宝章についてご紹介しましたが、せっかくなので他の勲章についても紹介しましょう。
旭日章(きょくじつしょう)
明治8年4月10日に、日本で最初の勲章です。旭日章は、「国家又ハ公共ニ対シ勲績アル者」に授与すると定められ、具体的には「社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者を表彰する場合に授与する」とし、内閣総理大臣などの職にあって顕著な功績を挙げた者を表彰する場合に授与されるものです。
旭日章も瑞宝章と同じく勲一等から勲六等までの6等級が制定されています。
※制定当初は勲八等まであったが現在は廃止されている。
〜授与基準〜
「勲章制定ノ件」より、旭日大綬章、旭日重光章、旭日中綬章、旭日小綬章、旭日双光章及旭日単光章は、「国家又ハ公共ニ対シ勲績アル者」に授与される。
閣議決定により定められた「勲章の授与基準」によれば、旭日章は、「社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者を表彰する場合に授与するものとし、第二(授与基準)第1項第3号に掲げる職にあって顕著な功績を挙げた者を表彰する場合のほか、次の各号に掲げる者を表彰する場合に授与するものとします。ただし、長年にわたり積み重ねられた功労を主たる功労とする者を表彰する場合を除く。」。「次の各号」とは、以下の通りです。
・国際社会の安定及び発展に寄与した者
・適正な納税の実現に寄与した者
・学校教育又は社会教育の振興に寄与した者
・文化又はスポーツの振興に寄与した者
・科学技術の振興に寄与した者
・社会福祉の向上及び増進に寄与した者
・国民の健康又は公衆衛生の向上及び増進に寄与した者
・労働者の働く環境の整備に寄与した者
・環境の保全に寄与した者
・農業、林業、水産業、商業、鉱業、工業、情報通信業、建設業、不動産業、金融・保険業、サービス業等の業務に従事し、経済及び産業の発展を図り公益に寄与した者
・弁護士、公認会計士、弁理士等の業務に従事し、公益に寄与した者
・新聞、放送その他報道の業務に従事し、公益に寄与した者
・電気事業、ガス事業、運輸事業等の公益的事業に従事し、公衆の福祉の増進に寄与した者
・前各号に掲げる者以外の者であって、公益に寄与した者
授与する勲章は、功績内容の重要性及び影響の大きさ、その者の果たした責任の大きさ等について評価を行い、特に高く評価される功績を挙げた者に対しては旭日重光章以上、高く評価される功績を挙げた者に対しては旭日小綬章以上、その他の者に対しては旭日単光章以上とします。
次の各号に掲げる者に対して授与する勲章は、それぞれ当該各号に掲げるものを標準とします。なお、その者の功績全体を総合的に評価して、より上位の勲章の授与を検討することができるものとします。
ア 内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長又は最高裁判所長官の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日大綬章
イ 国務大臣、内閣官房副長官、副大臣、衆議院副議長、参議院副議長又は最高裁判所判事の職(これらに準ずる職を含む。)にあって顕著な功績を挙げた者旭日重光章又は旭日大綬章
ウ 大臣政務官、衆議院常任委員長、参議院常任委員長、衆議院特別委員長、参議院特別委員長又は国会議員の職(これらに準ずる職を含む。)にあって顕著な功績を挙げた者旭日中綬章又は旭日重光章
エ 都道府県知事の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日中綬章又は旭日重光章
地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の29第1項の指定都市の市長の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日小綬章、旭日中綬章又は旭日重光章
指定都市以外の市の市長又は特別区の区長の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日双光章、旭日小綬章又は旭日中綬章
町村長の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日単光章、旭日双光章又は旭日小綬章
オ 都道府県議会議員、市議会議員または特別区の議会議員の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日単光章、旭日双光章、旭日小綬章又は旭日中綬章
町村議会議員の職にあって顕著な功績を挙げた者旭日単光章又は旭日双光章
緊急に勲章を授与する場合について、「次の各号の一に該当する者に対しては、その功績の内容等を勘案し相当の旭日章を緊急に授与する」と定めます。「次の各号」とは、以下の通りです。
・風水害、震火災その他非常災害に際し、身命の危険を冒して、被害の拡大防止、救援又は復旧に努め、顕著な功績を挙げた者
・身命の危険を冒して、現行犯人の逮捕等犯罪の予防又は鎮圧に顕著な功績を挙げた者
・生命の危険を伴う公共の業務に従事し、その職に殉じた者
・その他特に顕著な功績を挙げて、緊急に勲章を授与することを必要とする者
いかがでしょうか。旭日章についても紹介致しましたが、授与される者の幅は広いですが、求められている成果がとても高いレベルであることが分かって頂けたと思います。国で制定されているものでも一般にはあまり知られていないことは他にも多々あると思います。これを機に他にはどんな勲章があるのか色々調べてみては如何でしょうか。もし近くに勲章を授与されたことのある方がいれば今後その人の見え方も変わるかもしれませんね。
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