2023/10/16
イエローダイヤモンドは太陽の光を連想するような鮮烈な黄色の輝きが特徴的で、繫栄や湧き出る幸福感の象徴として意味づけられるようになりました。そしてイエローダイヤモンドはあらゆるファンシーカラーのダイヤモンドの中で最も一般的です。その色は、結晶構造に存在する窒素原子に起因しています。黄色の発色がとくに美しいイエローダイヤモンドは、黄水仙の美しさや、カナリー(カナリア)イエローと評され、高く評価されます。
ダイヤモンドの価値はGIA(米国宝石学会)の定めた国際基準である4Cに基づいてグレーディングされます。4CとはColor(色)、Clarity(クラリティ)、Cut(カット)、Carat(カラット)の四つの基準軸です。このなかのColorにおいて、無色のダイヤモンドの基準では最上のD(無色透明)~最も低位のZ(はっきり認識できる黄味を帯びている)まで、アルファベット順に等級が示されます。特に黄色味を帯びるグレードはU~Zです。
しかし、このZレベルのものでもイエローダイヤモンドとしては黄味が浅いほうです。イエローダイヤモンドとして評価されるものは、さらに黄味の強い色味のものです。本来、黄味を帯びたホワイトダイヤモンドはグレードが低いものと認識されるにもかかわらず、極度に鮮烈な黄味を帯びるとカラーダイヤモンドとして評価されるのは興味深い話です。
また、イエローダイヤモンドの価値向上に大きく貢献したのが、世界最大のイエローダイヤモンドである「ティファニー ダイヤモンド」です。これは1877年に南アフリカのキンバリー鉱山で採取された287.42ctのダイヤモンドの原石からカットされた128.54ctのイエローダイヤモンドです。このダイヤはオードリー・ヘップバーンやレディ・ガガの首元を飾ったことでも注目を集めました。彼女らミューズ達らの働きも、イエローダイヤモンドの人気や相場があがることに貢献しました。また、ティファニーはイエローダイヤモンドだけでなく、深い蒼色が美しいタンザナイトや、ティファニーブルーを彷彿させるターコイズやアクアマリンなどの様々な色石の価値を先駆的に世界へ紹介してきました。
イエローダイヤモンドは黄色味が強く鮮やかであるほどに価値が上がります。天然もので色味の強いものは希少で価値が高いです。一方で、その色味を強めるために放射線処理や熱処理を施して、その色味を人工的に強めているイエローダイヤモンドもあります。この処理を「トリートメント」といい、トリートメントを施された石にはその旨を明記しなければなりません。トリートメントのメリットとしては、鮮やかな色味のダイヤモンドを天然着色のものより低価格で楽しめるという点です。人工ダイヤモンドでもイエローダイヤモンドは生成されています。
先述のティファニーの巧みなブランディングや、セレブリティの着用、アジア新興国の富裕層が購買力を持ち始めていることなどの要因により、イエローダイヤモンドの相場は上がってきています。しかしまだまだ身近な価格帯のものもあり、例えば、結婚指輪などに使われる0.2ctほどの大きさのイエローダイヤモンドリングならば、4万円弱くらいからみつけることができます。色や大きさ、グレード、デザインなどの高いクオリティをもとめると、数百万円台のものも存在します。
また、イエローダイヤモンドの価値はこれからも上昇していくと考える人も少なくありません。そういう人は、相場の上昇を見越して投資的な購入をする場合もあるようです。
先述の「ティファニー ダイヤモンド」以外にも、世界には様々な逸話から有名になったイエローダイヤモンドが存在します。そんな世界的に有名なイエローダイヤモンドを紹介します。
●Florentin フロレンティン
フロレンティンは薬137ctのイエローダイヤモンドです。これはブルゴーニュ大公であるシャルル豪胆公のためにルドウィグ・ヴァン・ベルケム(Lodewyk van Bercken)によってカットされたダイヤモンドでした。ベルケムは世界で初めてダイヤモンドの研磨法を生み出したベルギー人です。歴史に翻弄されたダイヤモンドとして様々な説があります。有名な説によると、この宝石はシャルル豪胆公が戦死した際に持ち出され、その後ローマ教皇やトスカーナ公国を治めたメディチ家、神聖ローマ帝国ハプスブルク家と所有者を転々としましたが、ハプスブルク家の没落後、行方知れずとなってしまいます。
●SunDrop サンドロップ
サンドロップは、洋ナシ形の110カラットのイエロー ダイヤモンドです。2010年に南アフリカで発見されました。2011年にスイスで開催されたサザビーズのオークションで、1000万スイスフラン(当時の相場で約8.4億万円)で落札されました。
イエローダイヤモンドは太陽のような輝きからポジティブな印象を与え、ホワイトダイヤモンドとは一線を画す魅力でじわじわと人気が高まっています。ダイヤモンドをより多様に楽しめる選択肢の一つとして注目してみてはいかがでしょうか?
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