2023/10/21
冒頭でも触れたとおり、Saint Laurentはイヴ・サン=ローランとパートナーのピエール・ベルジェによって設立されたブランドです。イヴ・サン=ローランは幼少期より感性の豊かな少年で、パリのファッションスクールに在学中には国際的なコンクールのドレス部門で優勝します。そのように学生の時から抜きん出た才能を発揮していたイヴは、VOGUEのエディターの目に留まり、当時のトップクチュリエであるクリスチャン・ディオールに紹介されます。
そうしてクリスチャン・ディオールの下で働くことになった彼は、ムッシュ・ディオールの急死によって、弱冠21歳にしてグランメゾンのトップデザイナーに就任します。1958年に彼の手掛けたファーストコレクションは、「トラペーズ(=台形)ライン」として、拍手喝采で受け入れられました。しかしフランス領アルジェリアで、フランスとの独立戦争が勃発すると、イヴは徴兵されます。戦争は繊細な感性の持ち主であるイヴにはあまりに酷な環境で、兵役によって精神を病んでしまいます。そんなイヴにディオールのかつてのポストはもうありません。
病から回復したイヴは、パートナーのピエールベルジェや友人の援助によって1962年、自身のクチュールブランド「Yves Saint Laurent」を設立します。イヴ・サン=ローランは、アートとウィメンズウェアを融合した「モンドリアンルック」や、メンズウェアのスーツを女性向けに再解釈した「スモーキング」、ハンターの装いをエレガントに昇華させた「サファリルック」など、当時のウィメンズファッションにおいて数多くの革新を行いました。
さらにオートクチュール(オーダーメイド)だけでなく、プレタポルテ(既製服)部門の「Yves Saint Laurent Rive Gauche」を展開します。このリヴゴーシュこそ、今のサンローランにつながるラインです。2002年、イヴ・サン=ローランの引退とともにオートクチュール部門は閉鎖となりましたが、プレタポルテ部門は継続されました。その後、アルベール・エルバスやトム・フォード、ステファノ・ピラーティなど、時代のスタイルを築き上げてきた敏腕デザイナー達がクリエーションを手掛けました。
2012年、エディ・スリマン(Hedi Slimane)がブランドのアーティスティック・ディレクターに就任します。じつはエディはこの有名な就任劇の前に1998年にもイヴ・サン=ローランのメンズウェアを手掛けていますが、2年ほどの短い期間でした。その後2000年にはディオールオムの立ち上げを担い、2000年代のメンズファッションを席巻します。彼のスタイルは、タイトなシルエットと少年性、ロックミュージックに特徴づけられます。2012年にYSLに舞い戻ったときもこの“エディ節”は健在でした。2008年に創業者のイヴ・サン=ローランが逝去してから、ブランドの業績は不振と言わざるを得ない状況でした。
そこで、エディはブランドのイメージを一新します。ブランドの名前をYves Saint Laurent Rive GaucheからSaint Laurent Parisに変更し、店舗の内装やブランドイメージまで、あらゆるアプローチで新しい世界観を創り上げました。世界的なブランドの名称変更には批判の声もありましたが、エディの考え方では本質的にイヴサンローランというブランドに立ち返るための名称変更だったと言われています。彼のディレクションによってサンローランの業績は大きく好転しましたが、2016年に退任し現在はセリーヌのディレクションを担っています。
エディ・スリマンに代わりサンローランでは現在、アンソニー・ヴァカレロがそのクリエーションを手掛けています。彼の持ち味は、シャープなカッティングを生かしたデザインと、絶妙なバランス感覚で表現されるスタイルで、エディのロックなエレガンスを絶妙に汲み取るとともに、イヴ・サン=ローランというクチュールメゾンのエスプリにも、深く根差したクリエーションを展開しています。かつてムッシュ・サンローランが、男性のスーツを女性のスタイルに持ち込んだように、ジェンダーを超越した洗練をアンソニー・ヴァカレロは表現しています。また、「Saint Laurent Rive Droite」というオブジェやインテリア雑貨、サーフボードのようなものまで様々なアートピースを手掛けるラインを発足させて、表現をさらに多様なものにしています。
エディ・スリマンが手掛けて以来、不動の人気を誇るブーツです。チェルシーブーツはイギリスで誕生しました。ブーツと聞くとミリタリーのイメージが強いですが、チェルシーブーツは19世紀ヴィクトリア朝王室にルーツを持ちます。もともとこのブーツはヴィクトリア女王のためにデザインされたものですが、夫のエドワード公がサイドゴアともよばれる、ゴムの伸縮で着脱しやすいこのブーツを機能性を気に入って着用したことから広まり、チェルシーのアーティストにも愛用されたことからこの名がついたと言われています。サンローランのワイアットチェルシーブーツはサイドゴアの着脱しやすさとシンプルで使いやすいデザインが魅力です。サイドゴアではなく、ジッパータイプのものもあります。
かつてトムフォードがリヴゴーシュを手掛けていた時に、人気の高かった「ジョニー」を彷彿する、メンズブーツとしては高いヒールのブーツです。高いヒールとつま先の上がったポインテッドトゥで、デザインとしてもバランスがとれていて、非常にエレガントな印象です。高いヒールなので身長を高く見せたり、脚を長く見せてくれたりする効果もあります。スムースレザーも日常使いに便利でいいのですが、スウェード素材のブラウンカラーも捨てがたいです。
ボー(Beau)とはフランス語で美しいの意味です。その名の通り高いヒールに、くびれのある足首部分、甲にあしらわれたメタルパーツなど、非常にドレッシーな印象です。光沢のあるパテントレザーを選べば、一層ゴージャスな雰囲気です。
このようにサンローランは伝説的なクチュリエであるイヴ・サン=ローランに始まり、そのエスプリは様々な才能あるデザイナーに受け継がれてきました。中でもエディ・スリマンに始まる昨今のクリエーションは高く評価されており、現在のアンソニー・ヴァカレロが手掛けるデザインもメンズ/ウィメンズ問わず、人気が高いです。
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