2024/01/10
2012年にルイヴィトンの専属調香師となったジャック・キャヴァリエ=ベルトリュードは、世界の二大香料メーカーのひとつであるフィルメニッヒ社において、調香師を22年間務めた人物です。ジャック・キャヴァリエの家系は、3代続く調香師の血筋で香料のブレンダーであった母親と調香師の父親のもとに育った、香水界のサラブレッドです。
ジャック・キャヴァリエは数々の香水の名作を手がけましたが、彼の香りの鍵となるのが「オゾンノート」です。これはジャック・キャヴァリエが独自に開発したもので、オゾンの名の通り大気、空気、風を感じるようなクリアーな香りが特徴です。
ルイヴィトンが最初に手掛けた香水は、1927年に発表された「Heures d’Absence」です。しかし、これは外箱と容器が現存しているのみで、実際の香りやその構成は不明です。その後いくつかの香水も発表されていますが、1946年に発表された「Réminiscences」と「Eau de Voyage」を最後に新作の香水は長らく発表されませんでした。
しかし2012年、ジャック・キャヴァリエがルイヴィトンの主任調香師に着任します。4年の歳月を捧げ2016年にフレグランスコレクションを発表しました。これは個性豊かな7種類の香水のラインナップです。またボトルはナイキやコニャックの「ヘネシー」などのデザインを手掛けているマーク・ニューソンによるデザインとなり、ボトルデザインにまで意匠が行き届いています。
●Rose des vents
トルコローズ、ブルガリローズ、センティフォリアローズの三種類のバラの香りを、ルイヴィトン独自の「超臨界CO2抽出法」という技術によって抽出した、バラ園にそよぐ風のような香りです。
●Turbulences
チューベローズをベースにルイヴィトンのルーツである「革」のニュアンスが小気味よいアクセントになっています。レディースですが、中世的な香りなのでメンズが使っても素敵です。
●Dans la Peau
アプリコットやジャスミン、水仙などの爽やかなフローラルにレザーやムスクのベースノートは、エキゾチックで落ち着きのある印象です。
●Contre Moi
マダガスカルやタヒチの上質なバニラの香りにオレンジの葉やローズ、モクレンが優しく合わさりビターなカカオが絶妙なバランスをもたらします。
●Matière Noire
深い森を想起させるウッディなベースがカシスによってひきたてられており、そこにジャスミンや水仙などの白い花のアロマが加えることによって、重くなりがちなウッディスタイルを軽妙に仕上げています。
●MilleFeux
ルイヴイトンのバッグアトリエで、革が鮮やかなフランボワーズ色に染め上げられる様子からインスピレーションされた香水です。レザーのアニマルな香ばしさに、フランボワーズの可憐なニュアンスが出会い、オリエンタルな色気を備えた香水です。
2021年発表のこのコレクションは香りもさることながら、そのボトルデザインに注目が集まりました。これはジャック・キャヴァリエが、パリにあるFondation Louis Vuittonの建物に着想したシリーズです。彼は建物を吹き抜ける風や、その軽さがコンセプトの軸で、これはパッケージのデザインにまで貫かれています。
Fondation Louis Vuittonは世界的建築家フランク・ゲーリーの作品です。そしてこのLes Extraitsのコレクションはフランク・ゲーリーとのコラボレーションでもあるのです!フランクはボトルキャップを再構築し、花びらのような曲線美が舞うデザインを生み出しました。
このコレクションのラインナップは以下5種類の香水です。
●Dancing Blossom
メイローズ、金木犀、ジャスミンサンバック、チューベブロッサムのまさに躍るように咲き誇る花たちのイメージです。
●Cosmic Cloud
フルーティーなムスク、トンカビーンの異国情緒漂う甘い香り、香りの要素が無重力のごとくエアリーに舞います。
●Rhapsody
ジャスミンとパチョリの華やかなアロマにイランイランの艶やかさが加わります。巨匠ジャック・キャヴァリエによるシプレー系ノートの再解釈と言えます。
●Symphony
グレープフルーツ、オレンジ、ベルガモットなどの柑橘系の香りと、ジンジャーゼストのスパイシーなニュアンス、きらめくようなフレシュネスです。
●Stellar Times
オレンジブロッサムの爽やかさに、ホワイトアンバーとバルサムのバニラやウッディーな印象、時間や空間といった抽象概念をエレガンスに表現しています。
2021年の段階ではアルミ製のキャップでした。しかし、ムラーノグラスにおける名工シモーネ・セネデスによって色鮮やかなグラスキャップバージョンが新たに発売されることになります。
香水には携帯用ディスプレイが販売されていますが、それとは別に、100mlや200mlの瓶をそのまま持ち運べる専用ケースも販売されています。 ルイヴィトンのモノグラム柄の他、エピ素材・ヌメ革素材・クロコダイル素材などバリエーション豊富に展開されています。
また、ルイヴィトンでは香水のボトル本体やトラベルケースにイニシャルや日付を刻印するサービスがあり、自分用・贈り物用ともに好みのカスタマイズが出来ます。
ボトル本体には素彫りまたはゴールドカラーでの刻印ができ、トラベルケースには好みのカラーで刻印できます。記念日の贈り物にもぴったりです。
ルイヴィトンの店舗で買い物をすると、香水サンプルを約2mlのミニボトルでもらえることがあります。その時に気になる香りがあれば、サンプルがあるか聞いてみましょう。さらにルイヴィトン公式オンラインストアで香水を注文すると、気になる香水のサンプルを無料で入手できます。
上述した通り、ルイヴィトンの香水は2016年から定番化しました。定番化して間もないですが、専属調香師の手腕によりトップクラスのものに仕上がっています。それぞれの香水に個性がありますので、お好みのものを選び、いつもの日常を刺激的にしてみはいかがでしょうか。
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