コラム詳細

2024/03/17

ファンシーカラーダイヤモンドとは

そもそもカラーダイヤモンドってなに?

ファンシーカラーダイヤモンドを語る前に、カラーダイヤモンドについてお話します。結論からいってしまうとこの2つはほぼ同じものであるといえます。カラーダイヤモンドの中で特に発色が良く、透明度の高い一部のカラーダイヤモンドがファンシーカラーダイヤモンドとよばれています。ではカラーダイヤモンドはどのようにできるのでしょうか?

 

◆カラーダイヤモンドにはなぜ色がつく?

ダイヤモンドはみなさんがご存知の通り、炭素原子が地球内部で超高圧、超高温という極限状態で結晶化したものです。この時に純粋な炭素のみで作られた不純物が少ないダイヤモンド程、無色透明の美しいダイヤモンドとなります。しかし、実際には純粋な炭素のみで結晶化することは少ないため、ほとんどのダイヤモンドには別の原子が混ざることになります。そのため、インクルージョンといわれる内包物が確認されたり、色が無色透明ではなくなるのです。

 

◆カラーダイヤモンドは希少?

ダイヤモンドという物質としての希少性はありますが、ダイヤモンドの中で希少かといわれるとそんなことはありません。上述したように炭素が結晶化する際に他の原子が混ざる事の方が多いのです。一番多いのは窒素原子が混ざる事で、色としては黄色くなることが多いです。

 

◆どんなカラーダイヤモンドがある?

カラーダイヤモンドには結晶構造の欠陥や混ざる元素によって様々な発色が起こります。ここでは代表的なものをご紹介します。

 

・イエローダイヤモンド

もっとも多いカラーダイヤモンドといわれているのがこのイエローダイヤモンドです。原因は炭素元素の結晶体に窒素が取り込まれることにより起きます。窒素は地球上のどこにでも存在しているため、ほとんどのダイヤモンドに含まれており、この色合いが強くなるほどダイヤモンドの価値としては下がってしまいます。しかし、その色合いが一定の濃さを越えるとファンシーカラーダイヤモンドの一種であるカナリーイエローダイヤモンドといわれ、価値が跳ね上がります。

 

・ピンクダイヤモンド(レッドダイヤモンド)

ピンクダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中でも特に希少性が高いといわれており、ピンクダイヤモンドの中でも赤色が濃くでているものはレッドダイヤモンドといわれ世界でもっとも高価なカラーダイヤモンドといわれています。ピンクダイヤモンドやレッドダイヤモンドの発色原因は結晶構造の欠陥によるものだと考えられています。ピンクダイヤモンド産地は、オーストラリアのアーガイル鉱山が有名で、全体の90%はこのアーガイル鉱山から産出されています。 しかし、アーガイル鉱山は2020年11月に閉山されたため、ほとんどのピンクダイヤモンドの供給止まったといえ、このダイヤはさらに希少な存在になってしまったといえます。

 

・グリーンダイヤモンド

グリーンダイヤモンドは形成過程で窒素を含み、天然の放射線がダイヤ表面に数千年単位の期間、照射される事で結晶構造が歪み、緑色に発色する考えられています。グリーンダイヤモンドは蛍光性であり、ブラックライトをグリーンダイヤモンドを当てると、その色合いが変わります。

 

・ブルーダイヤモンド

ブルーダイヤモンドはレッドダイヤモンドの次に希少性の高いダイヤモンドといわれており、結晶構造の中に僅かにホウ素が取り込まれることによって、青色の発色が生まれるといわれています。この希少性の理由はホウ素が存在している深さにあり、どこにでもある窒素と異なり、ホウ素はダイヤモンドができる深さよりも浅い地層に存在しています。そのため、ブルーダイヤモンドは貴重なんですね。ブルーダイヤモンドの産地は南アフリカにあるカリナン鉱山が有名です。過去には29.6カラットの巨大ブルーダイヤモンドが採掘されています。

 

・ブラックダイヤモンド

ブラックダイヤモンドはカラーダイヤモンドの中では数が多いといわれています。しかし、漆黒のブラックダイヤモンドとなると希少価値が上がり、値段も高くなります。ブラックダイヤモンドの色は、ダイヤモンドに鉄鉱石やグラファイト等のインクルージョンが入り込んでいるため、黒くみえます。

 

◆人工カラーダイヤモンドとは?

ダイヤモンドは基本的には無色透明のものの方が価値が高いです。しかし、上述したようなカラーダイヤモンド、特にファンシーカラーダイヤモンドとよばれている色が濃く美しいダイヤモンドはその稀少価値も相まって、無色透明のダイヤモンドよりも高額で取引されます。そのため、価値が高くなく、たくさん採れる薄く色づいたダイヤモンドに人工的に着色を行い、利益を得ようとする動きがありました。ダイヤモンドは放射線を照射することで、内部の結晶構造を変化させます。その性質を利用し、照射線照射処理という方法を行い、カラーダイヤモンドを人工的につくっています。今では元々色を持って産出されたダイヤモンドを「ナチュラルダイヤモンド」と呼び、このように何らかの処理を施したものを「トリートメントダイヤモンド」と呼んでいます。

世界で有名なファンシーカラーダイヤモンド

●ハンコック・レッドダイヤモンド

ハンコック・レッドダイヤモンドはFancy Purplish Red(紫がかった赤色)のわずか0.95カラットのダイヤモンドですが、レッドダイヤモンドの希少性を知らしめたという意味で世界一有名なレッドダイヤモンドといえるでしょう。1カラット満たない大きさのこのダイヤモンドは、1987年のニューヨークで開かれたオークションに出品され、なんと1億円もの金額で落札されました。最高品質のダイヤモンドですら、1カラットで100万円程度と考えるとどれだけ希少なのかがわかりますね。

 

●ホープダイヤモンド

ホープダイヤモンドとは、45.52カラットのファンシーブルーダイヤモンドです。世界で最も有名なダイヤモンドのひとつとされ、所有した人に不幸が訪れるという伝説をもつ、呪いのダイヤモンドとしても知られています。インドの寺院からフランスへと渡り、フランス国王から数々の欧米の富豪たちに所有された末、最後の所有者ハリーウィンストンによって、現在所蔵されている米国スミソニアン博物館へと寄贈され、現在も人々を魅了しています。

 

●ティファニーイエローダイヤモンド

ティファニーイエローダイヤモンドは、世界5大ジュエリーブランドに数えられるティファニーが、南アフリカのキンバリー鉱山から発見された287.42ctの原石を買い取り、ジョージ・フレデリック・クンツによって、ラウンドブリリアントカットよりも面(ファセット)が多い、90面のクッションブリリアントカットに研磨されたファンシーイエローダイヤモンドです。このダイヤモンドは現在もティファニーが所有しており、期間限定で銀座ティファニー本店に展示されることもあるので、実際に見る機会があるかもしれませんね。

まとめ

このようにファンシーカラー・ダイヤモンドは非常に希少性が高く、発色がいいものや大きいものは市場にほとんど出回りません。しかし、小さいものでしたら市場に出回っている場合もあります。自分の気に入ったものを見つけたならば、希少なカラーダイヤモンドの所有を考えてみてはいかがでしょうか?

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